2018年12月鑑賞記録

77.彼が愛したケーキ職人(The Cakemaker・2017・以独合作)

1人の男を愛した男と女の物語。妻帯者子持ちのイスラエル人と恋に落ちたのはドイツ人のケーキ職人トーマス。彼が働いているカフェの常連であったことから関係は始まった。
1か月後の再開を約束して別れた2人だったが、その後彼とは連絡がつかず…留守番電話サービス(英語でなんて言うんだろ)に繋がってはメッセージを残し、次第にそれもできなくなり。
彼が事故で亡くなったと聞き、彼の自宅に向かう。会いたかったような、会いたくなかったような気持ちで彼の妻と子供に出会い、次第に関係を深めていく。

この映画は対比がとても美しい。
同じ対象を愛する男と女
好きな男の痕跡を辿る男と思い出したくない女
家族を持てない男と、家庭と子供を持った女

他、細かいところを比較したらもっとたくさんあると思うんだけど、どっちがよくてどっちが劣ってるとかってないんだなぁって思わされることだらけだった。

突然いなくなってしまった夫に対して、喪失感を感じてしまうのもわかるし、遺品を整理することもせず、しまっておくのも、近くにいる男性に寄りかかりたくなる気持ちもまぁ理解できる。 心の余裕ができてふと遺品の携帯電話を触った時に、愛し合うようになったと思ったトーマスから、夫宛にただの友人以上の関係をほのめかす留守電が残っているのを聞く。夫宛の「愛してる」はね......キャパオーバーになるのもまぁわからなくはない、それを義兄に伝えてしまうのはまぁ......裏切られたという気持ちなのか抱えきれなくなって伝えてしまったのかはわからないにしろ、結果トーマスはエルサレムからベルリンに戻されることになる。
その後アナトはトーマスの働くカフェを覗きに来るのだけれど、この意図は不明。ただ、トーマスがそうしたように、今度は愛した男の思い出を辿ろうとしたということなのかな。

愛した男の思い出をなぞるという行為が男性的思考なのか、それとも個人的な性格なのかはわからない。(ただ私はしないだろうから)
共有するということが彼にとっての愛だったのかもしれないなと思う。
奥さんをどんな風に抱いてきたのか尋ねてみたり、遺品の中の鍵がフィットネスクラブのロッカーの物だと解ればその水着で泳いでみたりする。(ロッカーの中にあったコンドームについてどう感じたのか議論の余地あり)
思い出を重ねるという意図なのか、それとも別の意図なのかはわからないけど、彼を婚姻関係によって所有していた妻(というより家かな?)を訪ねるのはなぁ。強いと言ってよいのだろうか。

ただ、彼と関係があったことを仄めかしたかったわけではないんだろうな。本当にただ彼に愛されていた女を見てみたいとか、追体験することで彼の存在をより感じるとかそんなところなのかもしれない。だから、妻アナトに男として求められたことに対して大きく戸惑ったのはわかる。受け入れちゃったのは、、喪失感もあっただろうけど、自分が誰かに必要とされることや、家族ってものを少なからず羨んでいたからだろうなという推察。ただ甘えたかったり、家族になってあげたいって初めて自分から選択したのかもしれない。環境が環境でなければとも思うし、そんな環境でなければ生まれてこなかった感情なのかもしれないと思うともう......運命論(という名の妄想)は尽きないね!!!!!!

不倫や同性愛について、宗教的見地からどう見られるのか、そのあたり詳しい方からのお話を聞いてみたいところ。世界史や宗教についての知識が浅いことを実感させられるね。。

 

この映画は感動とかストレス発散とかそんなんじゃなくて、自分の胸の中の感情の壺をぐるっと一周大きくかき回してくれる作品だった。自分の新しい面がちらっと覗けるような。
普段は絶対そんなことしたいと思わないんだけど、映画を見終わった後にどういう感情がそこにあったのかを誰かと語り合いながらお茶でもしたい気持ちにさせられた。
早くDVDにならないかなぁ。

78.パッドマン 5億人の女性を救った男(Padman・2018・印)

これも宗教観とか男と女の分業(なんて言えばいいのか...)がある故に多少すったもんだありながら、最終的に認められるというお話(ざっくりごめん)。実話にケチ付けるのは趣味じゃないから多くは語らないでおく。

79.おとなの恋は、まわり道(Destination Wedding・2018・米)
最近ここまで趣味の合わない映画に出会うことはなかったなぁ。作中の2人よりうんざりした顔してた自信がある。キャスティングだけで映画を選んじゃいけなかったなって久しぶりに大反省。

80.ニセコイ

少女漫画の実写化はそろそろ飽きてたからどうかなって思ってたけど、ジャンプ掲載作だったんだよね。知らなかったー。テンポ間はよかったけど、ノリがワンパになってたようなそうでもなかったような。